本コラムの原稿依頼を受け、ネタがないネタがないと悩んでいたら、たまたま見ていたテレビのお笑い番組で人工股関節が面白く扱われていたので安易に飛びつくことにしました。
　110kgを超える不健康な体形をお笑いに活かして最近賞レースで優勝と乗っているコント芸人のS氏、股関節の痛みで検査した結果、軟骨がほとんどない重症の変形性股関節症で手術を勧められているとの話です。まず回りの芸人達が「軟骨が無いって、どういうこと？」という理解不能の反応。確かに一般人に軟骨と言っても、耳鼻の軟骨や肋軟骨、焼き鳥のヤゲン軟骨やサメなどを思いつくけど、案外、関節軟骨を認識されていないのかも知れないなあと感心。次に人工股関節の説明で、棒の先に丸い球があるケン玉のようなものを入れるとS氏が喩えたため、芸人たちがガツガツ食いついて、糸はついてるのかなど大盛り上がり。棒の部分を太ももの骨の中に刺すという説明も芸人達には理解不能の表現みたいだったけど、案外、ステムの先端をボールに差し込むという人工股関節の形状の喩えもステムの髄内挿入の説明も、結構正しいのが逆に面白く感じました。
　そして手術の判断で悩んだのが、人工股関節は20年しか持たないとの話でした。30代半ばのS氏にとって何歳で手術すべきかということが大問題だったようです。これもHipJointコラムで何人かの先生方が触れておられた話ですが、「最近は医療技術等の進歩で人工股関節の耐用年数も伸びてきて、一生持つことも可能」という医師の説明を受け、手術を受ける決心をしたそうです。もっとも体重110kgのままでは難しい、50kgくらい減量しないとダメという話もあって、これもお笑いネタになってましたが。
　何にせよS氏は年末に１か月休んで名医による人工股関節置換術を受ける予定だそうで、無事に復帰して、世間一般に人工股関節の優秀な点を広めてくれることを本財団の関係者としても期待しております。
　最後にフジテレビさん、テロップに「人口関節」はダメですよ（笑）　　一般への認知度向上の道は長そうです。