私は太藻（タイソー）ゆみこという名前で、整形外科医指導の下、健康運動指導士・健康運動実践指導者として体操指導を行っています。予防と治療にも通じる運動器の医学体操指導者です。時の経つは早いもので40年近くもやらせて頂いています。
　整形外科に来院なさる患者さん、生徒さんの多くから「こんなに背中が曲がって、脚・腰が痛くて、膝の軟骨が磨滅してるんですって。でもどうして、いつこんなになったのかしら。ついこの間まで山に登っていたし、旅行にも行ってたし・・・」という訴えを聞きます。しかし、ついこの間というのが曲者で、お話しを聞くと数日前ではなく、かなり前のことなのです。また、「朝身体を起こそうとしても身体が痛くて動けない、このまま車椅子かしら？」と嘆かれます。そんな時、お口に1錠ではなく、「朝起きた時、身体は仮死状態です。昔の車は、エンジンをかけて、しばらくアイドリングをしなければ動きませんでした。身体も同じです。」とお話します。そして、「私も朝起きた時は、身体が動かず、朽ち果てた皺だらけの老婆ですよ。」とお話しします。すると、目をまん丸にして「え～先生も！」とお口あんぐりです。私をいつも超健康人間と見ておられたのでしょうか。
　身体の性能は年月と共に衰え、生活の質は落ちます。しかし、近年はそれに代わる道具が私達をサポート～代行してくれます。AIがもっと進化すれば、ポンポンとボタンを押すだけで、やりたいことは済んでしまうでしょう。何と楽ちんでしょう！しかし、それに頼っていると、身体は動き方を忘れてしまいます。長時間同じ姿勢で動かずにいたり、不意の動作に対応できず、整形外科に駆け込むことになります。
　実は、身体はかなり精工にできています。しかし、動かないでいるとサビ！ついてしまいます。一方、動くことでさらに磨かれていきます。身体は動きたがっているのです。身体を動かすことで爽快感、ウキウキ感、さわやかさ、さらには穏やかな疲労感と心の安定感を感じたことはありませんか。身体を動かすことは、自らの感覚を磨き、自分を取り戻すことです。反対に、老化とは筋力が落ちるだけではなく、身体の感覚がドンドン遠のくこと、頭も身体も心も自分のものでなくなることです。劣化です。ですから自分が自分でいるために、身体を操る、上手く操れるように日々体操することをお勧めします。

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