別府 諸兄
(公財)日本股関節研究振興財団 理事長、聖マリアンナ医科大学 名誉教授
新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。
さて、日本股関節財団会報創刊号(1988年7月1日)を顧みますと、財団法人日本股関節研究振興財団が厚生大臣の認可を得て正式承認されたのは、昭和62年1月30日(1987年1月30日)と記載されており、34年前であります。準備期間の3年間、実に4年半が経過して財団会報がやっと創刊出来たようです。また、この創刊号において当財団の目指すものは、股関節に関する疾患を組織的に調査研究し、的確な治療法を確立することによって、股関節の病気で悩む方を一人でも少なくし、より良い社会を創造することであると述べています。
また、この創刊号には当時の衆議院議員、元厚生大臣であった故橋本龍太郎様が財団会報の発刊を祝して「父・龍伍の敵、股関節の病―それだけに撲滅の願い切実―の中で、最後にこの財団の活躍により父、龍伍の様に、股関節に一生苦しみながら人生を生きぬかねばならぬ人を、一人でも少なくしてもらいたい」と述べています。
これは財団の骨子となり、股関節に関する研究を奨励することにより、学術及び科学技術の振興を図ると共に、股関節、人工股関節及び運動器に関する普及啓発を促進し、股関節を中心とする運動器の健康寿命の延伸を図ることにより、国民の公衆衛生の向上及び健康と福祉の増進に寄与することです。加えて若い研究者への海外研修事業、国内研修事業を行うことを目的としています。
研究者の困窮については、12月のNHKの番組で取り上げられ、「何が科学を追い詰めたか?科学立国低迷の真相」では、若手研究者が減ってきたことが一番の問題であるとしています。その結果、20年後、30年後の日本の科学技術が遅れてしまうとの危機感を訴えています。つまり、科学の果実のみを求めて、果実をもたらす土壌がやせてさせてはいけない。研究に打ち込む科学者に敬意を表する文化を忘れてはいけないと、述べています。
2020年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染対策が大きな課題となります。昨年、新型コロナウイルスの感染拡大は、日本社会の地盤沈下を浮き彫りにしました。
年末には東京では新規感染者数1000人を超えて、1337人となりました。今年はどのような年になるでしょうか。34年前に故伊丹康人理事長がいみじくもこの財団は股関節に関する治療技術を促進する財源として、基本財産の利子を頼りにしている助成財団であると述べています。しかし、低金利の今日においては思うこと多くして、意に任せずというのが現状であります。昨年も心ある多数の方々並びに医療関係の会社、病院からご協力をいただき、心から感謝の意を表する次第であります。
今年も何卒、ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。