平成26年3月29日に開催されました、第12回股関節市民フォーラム・質疑応答の際にお時間がなくお答えできなかったご質問に対して、Q&A形式で掲載いたしました。
尚、現在14問掲載中ですが、残りの質問に関しても近日中に掲載していきます。
腰に違和感あり①大股歩き不可、②座っている時違和感、どの程度の運動が適切でしょうか。
このご質問だけでは適切なお答ができません。整形外科医にかかられて原因を調べられることをお勧めします。
その上で、お勧めするのはストレッチ、リラクゼーションを中心に運動なさることです。例えば、当財団発行の「人工股関節がよくわかる本」P.74 5
腰回りのストレッチとリラクゼーションを、ゆったりした気持ちで1日数回行うのが良いでしょう。仰向けに寝て膝を立て、優しく膝を左右に動かすような運動です。全身の緊張がほぐれリラックスでき、腰の違和感にも効果があります。
歩幅をひろげる・階段昇降をやりやすくするための効果的な運動を教えて下さい。
脚には、股関節、膝関節、足首の関節とそれらを支える筋肉があります。それらをバランスよく、力強く使えるようになると、様々な動きに対応できる身体になります。
それには、股割りのスクワットをお勧めします。当財団発行の「新・股関節がよくわかる本」P.78ロコモン体操の股関節の体操を行ってください。
また、整形外科医が勧めているロコモ対応のロコモーショントレーニング(ロコトレ)の1つ、スクワットをお勧めします。やり方は、当財団発行の「人工股関節がよくわかる本」P,99の水中で行っているスクワットを参考にしてください。また、同本のP.82にも小さいボールを活用したやり易いスクワットがありますので試してください。
父子・母子・祖父母と子の身体的コミュニケーションのコツを教えてください。
生後9か月から共同注意・共同注視という行動が始まることが発達心理学で知られています。子どもが関心を持ったものを大人に見て欲しくて指さす、逆に大人が視線を向けた方向に子どもも視線を向けるといったことです。この行動により、子どもは目や表情を通したコミュニケーション能力を獲得していきます。
言葉を教えるときには、子どもが関心を持ったものの名前を大人が発語してあげます。その基盤にあるのが共同注意です。同じように、基本的な体の動きを子どもの時に確実に獲得できるかどうかにも共同注意は大きく関係します。子どもの体の動きから子どもの意図を察して子どもがそれを達成できるように補助してあげたり、逆に子どもが関心を持って真似したくなるような動きを大人が見せてあげることです。
たとえば、子どもが少し高いところに置いてあるものを取ろうとしているときに、ただ取ってあげるのではなく、姿勢を低くして子どもと同じような位置から取ってその動作を見せてあげたり、子どもが手を伸ばせば届くところまで下ろしてあげれば、子どもは大人とコミュニケーションを取りながら動きを覚えていくことができます。
高血圧・認知症や糖尿病予防と運動についての効果を教えてください。
動物の体は動くようにできています。ヒトも同じです。動かないと廃用症候群(生活不活発病)という状態を引き起こし、心臓血管系の機能の低下、筋肉・骨格の脆弱化、肥満、老化の促進、抑うつ状態などが出現します。つまり、規則的に体を動かすことが、病気の予防の基本となります。
最低限どのくらい動けばよいかということでは多くの勧告が出ていますが、成人では「早足と同じくらいの強さの有酸素性身体活動を毎日20分以上」とされています。適切な身体活動を行うことで、交感神経・副交感神経の働き、血圧調整を行うホルモンなどのバランス、インスリンの働き等が維持・改善される結果、生活習慣病全般の予防効果が生じます。
認知症予防に関しては、規則的に運動をする人は認知症になりにくいことを示す研究結果があります。さらに、生活習慣病が認知症の危険を高めるということも報告されていますので、運動習慣は生活習慣病の予防を通しても認知症予防になると言えます。
つまり、特定の運動が特定の病気を予防するというよりも、規則的に身体を動かす習慣が心身の健康に役立つと言えましょう。
最後に、運動と並んで心身の健康に役立つこと。それは「非喫煙」、タバコを吸わないことです。