新・股関節がよくわかる本Web
生活の質を向上させるために
栄養について
骨と筋肉を守るための食生活
〜単なるダイエットはダメ!〜
過体重は、関節に重りが加わっている状態であり、また、筋肉は骨・関節の支えになっているため、筋肉の低下も関節への大きな負担になり痛みの原因になります。
ですから、適正な体重、筋肉を維持することが必要です。

自分のからだをコントロール

まず最初に、あなたの目標体重の目安を知りましょう。
 目標体重は、BMI(ボディマスインデックス)を使います。日本肥満学会(1991年)より、BMI25以上が肥満とされています。
目標体重(kg)の目安(65歳未満)=身長(m)×身長(m)×22(※)
※総死亡が最も低いBMIは年齢によって異なります。
65歳以上では22~25の間で自分にあったBMIを選びましょう。
 次に、体脂肪を減らして、筋肉を増やしましょう!!
同じ体重でも体の中身が違います。ただ体重を減らせばよいのではなく、筋肉を落とさないようにしながら脂肪を減らしていきましょう。
 体の消費エネルギーは、基礎代謝、食事誘導性熱産生、活動代謝があります。基礎代謝は、安静状態で生命を維持するため(心臓や呼吸など)に消費するエネルギーのことです。
 食事誘導性熱産生は食事を摂ることによって発生するエネルギーで、活動代謝は、体を動かすことによって消費されるエネルギーのことです。
一日の消費エネルギー:円グラフのもの。「食事誘導性熱生産→食事誘導性熱産生」 BMI簡易早見表(65歳未満)
体脂肪率表 日本人における基礎代謝量の報告例(集団代表値)
 基礎代謝は加齢とともに低下します。
 基礎代謝量は、筋肉量によって大きく左右されます。ダイエットなどで、筋肉が減ってしまうと、基礎代謝量も減ってしまいます。ですから、筋肉を減らさないで、脂肪を減らすことが太りにくい体になるためには重要です。また、極端な食事制限によるダイエットは、骨を弱くします。

たんぱく質

筋肉をつくるため、たんぱく質を摂りましょう!

 なぜたんぱく質が必要なのでしょうか。
それは、骨格をあるべき姿に保って自在に動かしていくためには、筋肉が必要であり、その筋肉の主成分がたんぱく質だからです。
 また、たんぱく質は内臓や皮膚などの主成分としても重要です。また、私たちの一日の消費エネルギーの約60%が基礎代謝によるものといわれています。
その基礎代謝の約30%が筋肉によるものです。
つまり、筋肉が多くなれば基礎代謝も上がり、エネルギー消費が増えるため、太りにくい体になるのです。
 トレーニングによって筋肉に負荷をかけると、筋肉の繊維が壊されます。その壊された繊維を修復する際には、今までよりも強い筋肉を作るので筋肉量は増えていきます。そしてその修復に欠かせないのが、筋肉の主成分であるたんぱく質です。
 トレーニングで頑張っても、充分なたんぱく質を摂らなければ、筋肉を増やすことはできません。
18歳以上では、たんぱく質の1日の摂取基準は男性で60~65g、女性で50gとされています。
ダンベル+食事+睡眠→筋力アップ
  1. 卵1個=6.8g
  2. 牛乳200cc=6.6g
  3. 魚(アジ)一尾=13.8g
  4. 豚肉 もも薄切り2枚(50g)=10.8g
  5. 木綿豆腐1/3丁(100g)=7.0
食事制限だけのダイエットはよくありません。
私たちの体は食事量が減ると、少ない食料でも生活できるように、エネルギーの節約をします。そこでまず行われるのが、何もしなくてもエネルギーを消費してしまう「筋肉」を減らすことです。
しかし筋肉が減ってしまえば、基礎代謝が落ちてしまうので、一日の消費エネルギーが減ってしまいます。その結果、同じ食事をしていても太りやすい体を作ってしまうのです。

たんぱく質を効果的に摂取しましょう!

〇果物の酵素
パイナップルやメロン・キウイフルーツなどの果物は、たんぱく質を分解する酵素が含まれており、消化を助けてくれます。
〇ビタミンB6を多く含む食品
ビタミンB6を多く含む食品はたんぱく質の代謝を助ける働きをします。
<動物性食品:体内での利用効率が高い>
 →カツオ、マグロ、鶏もも肉、鶏ひき肉、アジ、イワシなど
注:魚や肉はたんぱく質の良い供給源になりますが、中には脂質を多く含むものがあります。
  脂質が気になる方には、マグロの赤身や牛・豚・鶏肉のもも(脂身なし)などがおすすめ です。
<植物性食品:料理の付け合わせとしても摂取しやすい>
 →バナナ、アボカド、ジャガイモ、緑黄色野菜など
特定の食品に偏らず、いろいろな食品を摂ることが大切です。
タンパク質の多い食品

カルシウム

丈夫な骨をつくるためにカルシウムを摂りましょう

なぜカルシウムが必要なのでしょうか。

それは、私たちが2本足で立って歩けるのは、背骨で体の軸を作り、骨盤や大腿骨で下肢を支え、鎖骨や上腕骨で上肢を支えているからです。その骨の主成分は、カルシウムとリンが結びついたリン酸カルシウムとたんぱく質からできたコラーゲンです。
体内のカルシウムの99%は骨と歯に、残り1%は血液中・細胞組織に含まれています。

※1% 血液中・細胞組織:その働きは 血中のカルシウム濃度が下がると、これらの働きがスムーズにいかなくなり、生命活動が脅かされます。そこで、身体は骨のカルシウムを溶かして血中に送り込み、血中のカルシウム濃度を一定に保つ仕組みを備えているのです。

カルシウムを多く含む食品

 丈夫な骨は、体を支えます。骨をスカスカにしないためにカルシウムをしっかり摂りましょう。
カルシウムの一日の摂取推奨量は男性700~800mg、女性600~650mgとされています。
(日本人の食事摂取基準2020年度版)
カルシウムその1 カルシウムその2
  1. 牛乳(200g)→ 220mg
  2. 煮干し(10g)→ 220mg
  3. 高野豆腐(15g)→95 mg
  4. 小松菜 (50g)→ 85mg
    →小松菜はビタミンCが豊富。
    ビタミンCは骨の中のコラーゲンを作るために必要です。
  5. プロセスチーズ(20g)→ 126mg
  6. 干ひじき(10g)→ 100mg
  7. 木綿豆腐(100g)→ 93mg
    →大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをし、骨づくりを助けてく れます。
しかし、カルシウムは吸収されにくい栄養素です。
食品のカルシウムの吸収率は、成人では25~30%です。年齢や食品成分などの影響を受けています。
牛乳がカルシウムの良い供給源といわれているのは、牛乳に含まれる乳糖やたんぱく質、カルシウムの形態などが影響しています。牛乳・乳製品は他の食品と組み合わせて摂ることで、他の食品のカルシウムの吸収を助けてくれます。

カルシウムを効果的に摂り入れるための方法

〇ビタミンD
陽を浴びてウォーキング

カルシウムの吸収を助けてくれます。
ビタミンDを多く含む食品とは、鮭・サンマ・しらす・干しシイタケです。
ビタミンDは食品以外にも、日光にあたることによって皮膚からも作られます。
※わざわざ日光浴をするというよりは、散歩や買い物など、日常生活の中で適度に外に出て体を動かすことが大切です。

陽を浴びてウォーキング
〇リン

カルシウムとともに骨づくりに必要なものですが、摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害します。リンは食品添加物として使用されことが多いものです。インスタント食品や清涼飲料はほどほどにしましょう。

〇食物繊維

大量に摂りすぎるとカルシウムの吸収を抑えることにつながります。

〇カフェイン

カルシウムを尿として排泄しやすくしてしまいます。
※これらは根っから悪いわけではありません。程よく摂取することが、私たちの体にとってちょうど良いのです。 何事も大切なのはバランスです。

太りにくい食生活ポイント

〇食物にはそれぞれ役割がありますので、バランスの良い食事を摂りましょう。
定食
  1. 主食(ご飯・パン・麺)・・・・エネルギーになる。
  2. 主菜(肉・魚・卵・豆など)・・・・体を作る。
  3. 副菜(野菜・きのこ・海藻類)・・・・・・・・・体の調子を整える。
  4. 果物・乳製品・・・・・・・・・・必要なビタミン・ミネラル源
    主食:主菜:副菜をそろえてバランスよく食べましょう。
定食
〇早食いは、太る道です。

脳が満腹を感じるまでに約30分かかるといわれています。よく噛まないで早食いすると、脳が満腹を感じるまでについつい食べ過ぎてしまいます。

〇食塩、脂肪は控えめにしましょう。

味が濃く、口当たりの良いものは、ついつい食べ過ぎてしまいます。塩分、脂肪は控えめにしましょう。

〇夜食、間食は控えて、夕食は早めで軽めにしましょう。

夜は、活動量も少なく、エネルギーを消費できず蓄えてしまいます。夕食は脂肪の多い揚げ物は避け、寝る2〜3時間前にすませて、夜食は控えましょう

〇カロリーダウンの調理方法を工夫しましょう

調理方法では 揚げる>炒める>煮る>蒸す
油を使わない調理方法を選ぶとカロリーダウンです。電子レンジやオーブンを利用すると油を抑えられ、カロリーダウンになります。
食材では 肉であれば、霜降りより赤身、魚であれば、トロより赤身、赤身より白身、と使用する食材によって、カロリーダウンになります。


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