第15回股関節市民フォーラムQ&A
【質問1】大腿骨壊死症と診断されていますが、人工股関節手術をどうしてもしないといけないのか?
【回答】  病気には悪性疾患(ほっておくと命にかかわる病気:癌など)と関節症や大腿骨頭壊死症などの良性疾患(ほっておいても命に別条ないもの)があります。
大腿骨頭壊死は、痛みや、歩けない、足を曲げにくい等日常生活の不便が多々あると思いますが、良性疾患ですので、絶対に手術を受けなければならないというようなことはありません。
 手術は勿論有力な治療手段ですが、合併症のリスク等もありますので、よくお考えいただいて納得できたらということで良いと思います。

【質問2】サポーターの効用について
【回答】 サポーターの効用は、1,装着によって関節の安定性が得られること、2,装着感によって安心感が得られること、の2点と考えられます。
 股関節の安定性を得るには骨盤と大腿間の動きを制動しなければなりませんが、股関節部は膝や足関節に比べてボリュームがあってぴったりと上から押さえることが困難なこと、トイレ等で不便なことから、あまり普及しておりません。ただご自身でボディスーツを着て安定感を得ているケースなどもありますので、試みても良いと存じます。

【質問3】股関節がかたく広がりません。膝も20年まがらず正座できません。
 ※体操を教えてください。
【回答】

まずは、股関節と膝関節の柔軟性を引き出す体操をご紹介します。

・股関節(2例)
①立位で脚をぶら下げ、小さくゆっくり脚を前後左右~円形にブラブラ動かす(図1参照)。股関節がストレッチされ、リラックスすることで、動き易く、広げ易くなる。 5~10回、左右とも


(公財)日本股関節研究振興財団監修「新・股関節のよくわかる本」P.75

②ご自分にあった足幅で開脚、両脚の関節を曲げ、ゆっくり腰を落とす。股割り体操(図2)。 5~6回 1~2セット

股関節のストレッチ②
(公財)日本股関節研究振興財団監修「新・股関節のよくわかる本」P.78

・膝(2例)
①タオル等を足裏にかけて、膝関節を中心に膝を5~6回ブラブラ曲げ伸ばしして、膝の柔軟性を引き出す。
②次に膝裏をじっくり伸ばし、脚の筋力トレーニングとストレッチを行う。

股関節のストレッチ③
「(公財)日本股関節研究振興財団監修[新・股関節のよくわかる本」P.71

【質問4】股関節について良い体操はありますか。知りたいです。
【回答】

 股関節の支障があるかないかで体操の内容も変わります。ここでは、身体への負担が少なく、股関節を支えていく筋肉の基本的な筋力トレーニングを2例ご紹介します。

①中殿筋の筋力トレーニング
 横向けに寝て、身体が倒れないように、下側の脚を曲げ、上体を床側に少し倒し、上側の脚をまっすぐ伸ばし床に置く。そこから、ゆっくり踵から脚を引き上げるように上げ、下す。初めての方にはきつい体操なので、2回位から慣れてきたら左右共に1セット5~6回、2セット位行う。

中殿筋のトレーニング
「(公財)日本股関節研究振興財団監修「人工股関節がよくわかる本」P.73

②大殿筋の筋力トレーニング
うつ伏せになり、腰を床から浮かさないようにして、片足づつ脚の付け根から膝は伸ばし、ゆっくり上げて下す。回数、注意点は中殿筋と同じ。

大殿筋のトレーニング
「(公財)日本股関節研究振興財団監修「人工股関節がよくわかる本」P.73 

【質問5】右足の再手術と左足の手術を考えておりますが、2013年にくも膜下出血になってしまいました。
くも膜下出血などをした場合は、手術は無理だという先生と問題ないと言う先生がおり、手術に踏み切れません。手術が可能なのか、お聞きしたいです。
【回答】 くも膜下出血の既往があるということですが、手術が可能かといえばそれは可能です。ただくも膜下出血に限らず卒中の既往がある場合、手術のリスクが増すことも事実ですので、手術中血圧を上げないなど術前に麻酔科や脳外科との打ち合わせが必要になります。

【質問6】日常できる体操を教えていただきたい。
【回答】  膝に負担をかけない方法で行う、スクワットが良いでしょう。5~6回を1セットに、慣れてきたら増やします。

【質問7】合気道教室に一回参加し、膝まづいて歩かされた次の日からびっこをひくようになり、最近は突然の激痛で座り込んでしまうこともあり。 どうしたら治りますか?病院にいきましたが、治療方法がなくて・・・
【回答】   残念ながら、これだけでは正確な情報が不足でお答えは困難です。ただもし股関節の具合が悪くて突然の激痛発作が起きるとすれば、レントゲン像で変化がなくても、関節唇(股関節の縁を取り巻いている軟骨)が引っかかったり、関節内の遊離体が存在する可能性があると思います。単に整形外科というのではなく股関節を専門としている施設を受診してください。

【質問8】股関節が開かないと、腰痛も治らないということですか?
【回答】  以前から股関節症と腰椎症はヒップスパイン・シンドロームといって関連性があることが指摘されています。しかしすべてが関連して症状を出すというわけでもありません。腰椎も股関節も長年使い続けて傷んでくるものですから、症状が並行して現れたことも充分考えられます。今は腰痛でお困りのようですから、取り敢えずそちらの治療を優先して考えたほうが良いかもしれません。

【質問9】動かす時に音がします。腰まわし等をして、筋肉をつけたいと運動しています。宜しいのでしょうか?
【回答】 ①関節を動かすとコクコク、ポキポキと音がすると不安な気持ちになりますね。しかし、痛みがなければきになさることはありません。丁寧に動かしていくうちに音は往々にして無くなります。

②腰まわしはどちらかというと、ストレッチ、身体ほぐしの運動ですが、朝起きた時など、まだ身体動きにくい時にゆっくり左右共行うと身体がほぐれ、血液循環も促されてなかなか良い運動です。膝を軽く曲げ、両手を腰にあて、安定した状態で行う事をお勧めします。

③筋肉をつけるには、自分の身体の重さを使った自重の体操が良いでしょう。腰をうしろに引いたスクワットが良いでしょう。腰まわしの後、スクワットを5~6回行ってください。慣れてきたら回数を増やします。


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