Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

  
第24回 Hip Joint コラム 2017.09.01

「新しい高齢者像を求めて、
メディカルフィットネス 医学体操の活動」

太藻ゆみこ氏 写真 画像

太藻 ゆみこ
メディカルフィットネス研究所 代表
健康運動指導士・実践指導者

 現在、メディカルフィットネス研究所では、運動器疾患から運動器の健康づくり、健康寿命延伸まで、整形外科医の診断と運動処方に基づき医学体操が行われています。核になる整形外科医は、当財団の別府諸兄理事長、そして体操指導は医学体操指導者が週2回半グループ形式で行っています。そして、このメディカルフィットネスとは何か、私なりに考えてみます。
 まずはこれまでの経緯を説明します。整形外科医が処方する予防の体操を医学体操と名付け、平成元年に当財団故伊丹康人名誉理事長がこの活動をスタートされました。さらに、医療の枠を超えた予防の分野ということで、平成7年にメディカルフィットネスという新語を生み出されました。つまり、メディカルフィットネスは、ロコモティブシンドローム同様日本発信の新語なのです。
 伊丹先生は74歳の時に、世田谷に上馬整形外科クリニックを開業され「自分の身体は自分で守る」をモットーに、休診日を活用した体操教室も開かれました。「整形外科医が処方した予防と治療の体操」図1、体操指導者のための「医学体操テキストブック」図2を書かれ、スイスボール(エクササイズボール)図3を股関節症対応の体操に取り入れ、「肩こり予防の襷バンド」図4、「頚椎のための頸まくら」図5の開発とアイデアに富んだ商品も開発されました。
 この体操が始まった当時は、一般の運動指導者(当時はフィットネスインストラクター全盛の時代)や一般の方々に健康づくりを勧める機会は少なく、講習会は毎回満員でした。そして、これがまさしくロコモティブシンドローム啓発活動の始まりであったと思います。そして、昨今の健康ブームで、巷には膨大な量の健康情報が溢れ、健康、健康寿命という言葉が闊歩しています。1日のウォーキング数を6~8000歩、軽運動と負荷のかかった運動を織り交ぜての運動等々、様々なメニューが紹介されています。しかし、このメニューで1人1人が健康寿命の切符を手に入れることができるでしょうか。身体は1人として同じではありません。個別性の高いものです。メディカルフィットネス研究所では、別府理事長と共に、現在、健康・健康寿命延伸プランを個別に、医師・体操指導者そして本人という三位一体で組み立て、実行できるシステムを構築しようとしています。これが現実に動き始める時、健康寿命を模索する新たな高齢者像がみえてくると思います。
 最後に、私達体操指導者は、運動器の勉強を医師直々にしどうしてもらえる立場に感謝すると共に、身体を動かすことの愉快さ、楽しさ、さらには閉鎖的にならない自分づくり仲間づくりの大事さを、体操を通して伝えていきたいと思っております。

第24回ヒップジョイントコラム 例 写真

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